諸伏編

「誰も巻き込みたくない」
「また誰かが死んだりしたら……」って景光は言ってたけど、

つまり両親の仇である犯人を捕まえるのに無事では済まないだろうと考えてたとして
それって自分自身の危険まできちんと想定してたんだろうか……。

相打ち覚悟もしてたらどうしよう。
自分が死ぬかもしれないことは覚悟してたんか?っていうとあんまりそんな感じもしないよなあ。


あんなトラウマ抱えながら生きてきたようなのに、
幼なじみとぽわんぽわんした会話してるの逆にこわい気がしてきた。
でもぜろ相手には気を張る必要も必然も、まるでなかったんだろうな て思うと うっうっ。


両親の仇を討つ(犯人を捕まえる)という目標を定めてその道を生きる最中で、
同じく隣で警察官を目指してる親友に、景光は何を望んだろう。
何も望まなかったのかな。

頼らないにしても自分の行く先を見届けてほしいとか、
ただ手を握っててほしいとか、それすらもなかったのかな。
わからないなあ……。

あんな最強の幼なじみ兼親友すらも巻き込む、頼るつもりが本当になくて、
一人でやりきってみせる覚悟だったなら、何つうか……そら最期がああなるのも必然だったってことなん……イーーーーーーーン。



降谷さんがK学に入ってからもその優秀さを如何なく発揮してる(=警察官としての能力もある)のを
景光は誰より近くで見て知っていて、なおも頼ろうとはしなかったのかと思うとさ……。

でもそれは決して信頼してないからではないんだろうし、
降谷さんもわかってたろうけども、やっぱ寂しさ悔しさあったんでないか。


ハッ 降谷さんが謙虚で驕らないのはそういうタチのひとなんだろなって思ってたけど、
もしかしたら景光がああだったからってのもある……?
つまりどれだけ優秀だと周りから言われようと……親友ひとり苦しんでるのを助けられない、という歯痒さがどこかであったから……とかだったら…………わあ………。

何ならそれって29歳現在もそうなのでは?って考えたら やめようつらい。
そんなある種のコンプレックスのような負い目のようなもの 持っててほしくはない……けど……でも……わからん……。


確かなことは……景光から話してくれるまで待とうという……優しさと強さと愛が……降谷さんにはあったのだ……。