ガルバン回の話

ケースの中にライフルを入れて、ベースをカモフラに使うっていうの
景光もだけど降谷さんもたまらない気持ちになりそうだよな。

今でもなおふたりで初めて奏でた音を大切にしてる降谷さんだから、余計に……。


見知らぬ子どもに優しくベースを教える男が、あの日の幼なじみを思い起こさせていけない、
と思ってお互いを戒めるために「スコッチ」と呼んだのかなあ……。

コードネームって一般人の前でも呼んでいいものなのかわからんけど、
結果として真純ちゃんにはばっちり覚えられてしまってるんだよねえ。

しかも、その男の顔を覚えてるかなんて、わざわざ藪蛇みたいなことしちゃってさ……。
知られたらまずいことなのにね……それでも聞きたかったのかな……。

感づかれても誤魔化したり嘘をつけるという自信もあるんだろうけど、
それでも仕事ではないところで、ああやって突っ込むのはだいぶリスキーじゃない?あの行為。

でもどんな形でも覚えてくれてる人がいて、
その話が聞けるのは嬉しかったのかい、なあ降谷さん……。


通りすがりの子どものカウントダウンのゼロに反応したり、
真純ちゃんの語る過去話に突っ込んだり、
同期たちの写真データを持ってたり……。

一つのミスが命取りになりかねないお仕事してて、
けれど決して捨てきれない感傷が、思い出が、
降谷さんにあるということ……がたまらなくなるよ ほんと。


生きてる限り“ゼロ”になるなんてことは不可能なんだよね、人間なんだから。

死んだ後だってそう……景光が家族や仲間のデータを自分の命ごと消したところで、
景光の存在が降谷さんの中でゼロになることなんてないんだ…………。